週間映画鑑賞雑記 #1
例年より暖かい3ヶ日から成人の日を含めた3連休までの9日間は、正月気分が居残ってはいたが、気になるものはやはり気になる性分が強く働き、10作品の映画館での鑑賞という積極的な年明けとなった。その中で取り上げたいのは封切りされたばかりの邦画である。
今週は、自分好みの私的名作には巡り合わなかったのだが、『僕らのごはんは明日で待ってる』はドラマ性の強い、見応えある佳作だ。
正直、観る前は期待していなかった。期待の少なかった分、ぐいぐい引き込まれていった。
その最たる要因はヒロイン役の新木優子の好演にあり、鑑賞中は彼女の虜になっていた。
主人公を想い続ける影のある才女役で、台詞量がとにかく多い。劇中で一番多いのではないかと思ったくらいだ。
彼女はその役柄にひれ伏す事なく、良い意味でまるで本人役であるかのように演じきっている。
彼女を本作で初めて知り、映画やドラマへの出演履歴を調べてみたのだが、断言したい。彼女の代表作の一つになるだろう。
本作を観る動機として主役の中島裕翔を目当ての方が圧倒的多数と想像する。映画ファンならば、星野源と夏帆の甘酸っぱい演技が記憶に残る『箱入り息子の恋』を撮った市井昌秀監督の新作ということが動機のトリガーかもしれない。
ただ、いざ作品を観終えてみると、どうだろう。ヒロイン役の新木の凛とした存在感の強さが印象に残るのではないだろうか。絶妙なキャスティングである。
前作に続き、もどかしくも温かい恋愛模様を描いた市井監督の手腕ぶりも本作の見所だと当然思う。だけども敢えて言いたい。
一番の見所は、新木優子の魅力であると。
女男を追わず20代俳優の層が厚くなる中で、彼女にも幅広い役柄での活躍を期待したいところだ。
同じく新作の、ゲームの世界にいると見紛う程の映像表現が素晴らしい『ナーヴ』や、アル・パチーノとアンソニー・ホプキンス初共演のリーガルサスペンス『ブラック・ファイル』等について書きたいことはあるが、それ以上の感動を覚えたことを優先したい。
今週はこれまで。
来週はどんな映画に出会えるだろう。