取り留めない話 #1
出先で知り合いを見かけた。
最後に飲んだのはおよそ1年前だったか。
自分が後ろから見つけたから
知人は自分に気付いていないようだ。
声をかけようか、かけるまいか。
何故かそんな自問をし、
結果は声をかけることなしに
その場を後にした。
自分の視界から完全に離れるその手前で
後方の知人にちらりと目をやる。
知人は足を止め
誰かを待つように辺りを見回していた。
誰かと待ち合わせか、
それとも自分に気づいていたか。
今となっては何も分からない。
次に知人を見かけるのは
いつになるだろう。
一晩明けて考えると
声をかけなかったことに
後悔の念が絶えない。