2016年 映画私的名作11選
2016年は、映画館で239本の作品を観賞しました。
そこで「私的名作」と題して、個人的にオススメの作品を11本ご紹介します。
『エクス・マキナ』
近未来の映像描写、そして登場人物やロボットの心理の移り変わりに注目です。
ロボットを演じるオスカー女優アリシア・ヴィカンデルの魅力が本作でも堪能できます。
『スポットライト』
昨年度のアカデミー賞で作品と脚本部門で受賞した、アメリカで実際に起きた教会スキャンダルを基にしたサスペンスドラマです。
事件そのものだけではなく、重すぎずテンポ良く進む物語と実力派俳優陣の共演も見所です。
『湯を沸かすほどの熱い愛』
日本映画の中ではダントツの熱量を感じた作品です。
これぞ映画という展開をはじめ、主演の宮沢りえの圧倒的な存在感と包容力ある演技だけでなく、オダギリジョーや杉咲花といった出演俳優の素晴らしい調和がとれた作品です。
『ハドソン川の奇跡』
クリント・イーストウッド監督の最新作。
日本でもニュース報道され、記憶に新しい飛行機事故を機長の手記を基に映画化。
見終えた後、温かさが心に染み渡ること間違いなしです。
『怒り』
渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ等第一線で活躍する俳優陣が織り成す群像ドラマ。
彼らの芝居合戦に魅了されただけでなく、人を信じるということを深く考えさせられました。
『トランボ』
時代に翻弄されつつも逞しく生きた実在の映画脚本家を描いたドラマ。
往年の映画ファンにはたまらない名作誕生の背景が分かるだけでなく、笑えてほろりと泣ける人間ドラマとしてあらゆる方にオススメの作品です。
『ボーダーライン』
硬派で骨太のサスペンス作品をお好みの方に特にオススメです。
ドゥ二・ヴィルヌーヴ監督は今年秋公開の『ブレードランナー』続編の監督でもありますが、本作のようなテイストではさすがにないでしょうね。。
『シン・ゴジラ』
ゴジラ撃退の為に放たれた大量の銃弾さながら、全編を被う大量の台詞とその内容にシビレました。余分な背景音がないことで緊張感やライヴ感が高まり、その世界に浸ることができました。是非。
『山河ノスタルジア』
およそ30年にわたり、中国の或る一家族の悲喜交々を丁寧な目線で描いた作品。
家族を持つ者なら誰もが思う感情が長い年月を経てより深いものとなっていく、その味わい深さが込められた作品です。是非確かめてみてください。
『サウスポー』
元チャンプのボクサーの栄光と挫折そして再生。
男くさい作品かもしれませんが、人間ドラマとしても秀逸な作品だと思います。
『64 前編』
何と言っても、出演俳優陣の演技に気圧された作品です。
結末を描いた後編よりも、この後の展開を気にさせてくれる緊張感のあふれた本作の方が個人的にはオススメです。
いかがでしたか?
振り返ると自分の好みもあってかサスペンスものが多くなりました。
貴方の映画生活に多少の参考となれば幸いです。
年初め
久々に旅先で年を越しました。
日本の南西部は最高気温20度を超え
真夏に近づくほどの暑さですが、
幸いに湿気がないので
さながらハワイにいるかのような気分です。
湿布の香りのする炭酸飲料が飲みたくなってきました。
例年以上の暖かな気候は
色々な意味で不思議な気持ちにさせてくれます。
さて、今年の抱負です。
ここ数年にかけ、
興味のある事柄を追いかける機会には恵まれておりますが、
同時に物足りなさも感じている現状です。
これまでの興味ある事柄を深掘りする。
これからしてみたい事柄を体験する。
振れ幅を縦と横に拡げていくというのが
今年の目標になるでしょうか。
これまでの延長線上に自分を想像するのではなく、
新たな座標にマーキングをして
違う方向性も模索していきたいと思います。
最後になりましたが、
皆さま、明けましておめでとうございます。
今年は定期的なブログ更新を目指します。
まずは週一回と、少しずつ目標を達成していきたいと思います。
どうぞお付き合いくださいませ。
取り留めない話 #1
沖縄で想う、近未来の飲み物のこと
旅へ出る時、
ドリーム ホーム
今年の私的名作に入ってくるであろう作品。
社会問題を描いた作品が好きな方、そしてあらゆる状況に置かれた時に人が取る行動について興味のある方、つまりは人間ドラマが好きな方には特にオススメで、結構見応えがあると思います。
物語は、2人の登場人物によって進められます。
ある日突然、退去勧告を告げられ、持ち家を失ってしまった主人公の青年と、不動産ブローカーとして成功街道まっしぐらの実業家。
住む世界が大きく異なる2人が出会い、青年は実業家の片腕として、自らを窮地へ追いやった不動産ビジネスに身を捧げていきますが、徐々に青年の周りにも変化が押し寄せてきて、というお話。
実業家役のマイケル・シャノンはアカデミー賞ノミネートこそならなかったものの、前哨戦の幾つかの賞で受賞あるいはノミネートを受けていて話題になりましたが、一方で青年役のアンドリュー・ガーフィールドも賞レースは何処吹く風で、シャノンに圧倒されることなく苦悩の滲み出た演技を観せてくれており、新生『スパイダーマン』や『わたしを離さないで』と同じく彼の代表作になり得るのではないでしょうか。
2人の俳優による白熱の演技合戦も見所の本作。
気になった方は是非観てみてください。
残穢-住んではいけない部屋-
「原作と比べて出来はどうなのか?」
原作がある映画の場合、このように思う人は決して少なくないだろう。
自分は、そもそも原作本と比べるべきではなく、原作を基に作られた映画は、原作とは別の作品と捉えるべきである、といつも考えている。
原作を知る人には、それぞれの頭に思い描く世界観があり、特に視覚に明確に訴えるものが提示されていない限り、その世界は十人十色の規模に拡がる。
思い入れはあっても、原作を知る映像のプロによって命を吹き込まれた、限りなく別の作品として楽しむのがよいと思うのだが、いかがだろうか?
さて本作も類に違わず、文芸界において受賞歴のある小説が原作の映画作品であるが、原作を未読の私個人としては、本作を観て十分に背筋をぞくぞくさせてもらった。
特に、決して奇をてらうことなく、不可思議な現象を丁寧に映像として積み上げていく展開が物語に緊張感と恐怖感をみなぎらせており、ある種の心地よさを覚えた。
正直のところ、監督に尋ねたくなるシーンがないわけではない。
それにも関わらず、本作はホラーという分野に止まらず、2016年の佳作の1本として是非鑑賞をお勧めしたい。
ベラ
今度はドイツから出て参りました。
本作の主人公は、某クマさんではなく、赤毛の三つ編みをした喋る人形の女の子。
名前をベラという彼女は、その可愛らしい見た目とは半面、ぶっ飛んだ言動と性格で、周囲の人間に迷惑を撒き散らす始末。
ある日、親友の結婚話を破談に近い状況にまでしてしまいます。果たして、ベラはどんな行動に出るのでしょう?
本作の魅力は、動き喋る人形ベラ様にあるとは思いますが、類似作品にあたるアメリカ産の『テッド』やイギリス産の『パディントン』とは異なる点が興味深いです。
それは、人形の種類の違いはもちろん、それ以上に国民性を踏襲しているかどうかということになります。
すなわち、『テッド』や『パディントン』の性格はそれぞれの御国のステレオタイプの国民性のイメージにはまっていますが、『ベラ』は一般的に描くドイツの国民性イメージとは真逆です。勤勉、実直なところなんて殆どありません!とにかく怠惰なワケです。
ドイツからこのような気質の作品が産まれたのに驚くと共に、感激さえしてしまいました。
ご興味のある方は是非観てみてください。