沖縄で想う、近未来の飲み物のこと
旅へ出る時、
ドリーム ホーム
今年の私的名作に入ってくるであろう作品。
社会問題を描いた作品が好きな方、そしてあらゆる状況に置かれた時に人が取る行動について興味のある方、つまりは人間ドラマが好きな方には特にオススメで、結構見応えがあると思います。
物語は、2人の登場人物によって進められます。
ある日突然、退去勧告を告げられ、持ち家を失ってしまった主人公の青年と、不動産ブローカーとして成功街道まっしぐらの実業家。
住む世界が大きく異なる2人が出会い、青年は実業家の片腕として、自らを窮地へ追いやった不動産ビジネスに身を捧げていきますが、徐々に青年の周りにも変化が押し寄せてきて、というお話。
実業家役のマイケル・シャノンはアカデミー賞ノミネートこそならなかったものの、前哨戦の幾つかの賞で受賞あるいはノミネートを受けていて話題になりましたが、一方で青年役のアンドリュー・ガーフィールドも賞レースは何処吹く風で、シャノンに圧倒されることなく苦悩の滲み出た演技を観せてくれており、新生『スパイダーマン』や『わたしを離さないで』と同じく彼の代表作になり得るのではないでしょうか。
2人の俳優による白熱の演技合戦も見所の本作。
気になった方は是非観てみてください。
残穢-住んではいけない部屋-
「原作と比べて出来はどうなのか?」
原作がある映画の場合、このように思う人は決して少なくないだろう。
自分は、そもそも原作本と比べるべきではなく、原作を基に作られた映画は、原作とは別の作品と捉えるべきである、といつも考えている。
原作を知る人には、それぞれの頭に思い描く世界観があり、特に視覚に明確に訴えるものが提示されていない限り、その世界は十人十色の規模に拡がる。
思い入れはあっても、原作を知る映像のプロによって命を吹き込まれた、限りなく別の作品として楽しむのがよいと思うのだが、いかがだろうか?
さて本作も類に違わず、文芸界において受賞歴のある小説が原作の映画作品であるが、原作を未読の私個人としては、本作を観て十分に背筋をぞくぞくさせてもらった。
特に、決して奇をてらうことなく、不可思議な現象を丁寧に映像として積み上げていく展開が物語に緊張感と恐怖感をみなぎらせており、ある種の心地よさを覚えた。
正直のところ、監督に尋ねたくなるシーンがないわけではない。
それにも関わらず、本作はホラーという分野に止まらず、2016年の佳作の1本として是非鑑賞をお勧めしたい。
ベラ
今度はドイツから出て参りました。
本作の主人公は、某クマさんではなく、赤毛の三つ編みをした喋る人形の女の子。
名前をベラという彼女は、その可愛らしい見た目とは半面、ぶっ飛んだ言動と性格で、周囲の人間に迷惑を撒き散らす始末。
ある日、親友の結婚話を破談に近い状況にまでしてしまいます。果たして、ベラはどんな行動に出るのでしょう?
本作の魅力は、動き喋る人形ベラ様にあるとは思いますが、類似作品にあたるアメリカ産の『テッド』やイギリス産の『パディントン』とは異なる点が興味深いです。
それは、人形の種類の違いはもちろん、それ以上に国民性を踏襲しているかどうかということになります。
すなわち、『テッド』や『パディントン』の性格はそれぞれの御国のステレオタイプの国民性のイメージにはまっていますが、『ベラ』は一般的に描くドイツの国民性イメージとは真逆です。勤勉、実直なところなんて殆どありません!とにかく怠惰なワケです。
ドイツからこのような気質の作品が産まれたのに驚くと共に、感激さえしてしまいました。
ご興味のある方は是非観てみてください。
神なるオオカミ
文化大革命の時代、北京から教育の為にモンゴルへやって来た若者の視点から描かれるドラマ。
普段は好んでアジア映画を観ないのですが、劇場に置かれていたチラシを一見し、何か気になるものが残った為、鑑賞となりました。
直感とも言うべきものに従って良かった、出会えて感謝の、人生を豊かにしてくれる作品だと思っています。
本作のオススメは2点。
撮影へ慣らすのに2年費やしたという、現地モンゴルでは神として奉られるオオカミのシーン。草原を走り抜けるシーンや、顔のアップなどは見惚れてしまいました。
そして、多くの期間を使って撮られた雄大かつ過酷な大自然のシーン。晴天や荒天時に見せる多面的な表情に注目です。
自然や動物(特にオオカミ)好きはもちろん、人間ドラマ好きにもオススメとなっています。